パシフィックとは「太平洋」です。リムとは「縁」という意味です。太平洋を中心にして西の縁に日本があり、東の縁にオレゴンがあります。意訳すれば、この二つの地域が太平洋を越えて、アメリカンフットボールによって結ばれているということになるのでしょうか。
 命名はアシュランド高校の元ヘッドコーチ、ジム・ネーゲルさん(現南オレゴン州立大学コーチ)です。素晴らしい名前だとは思いませんか。この名称は日本協会に登録されており、甲子園ボウルやプリンスボウル、クリスマスボウルなどと同様に歴史にその名前を残すゲームになりました。この素晴らしい企画が始まったのは1987年のことです。その発端は関西学院大学と南オレゴン州立大学が交流を開始したおり、関西アメリカンフットボール協会(旧称)理事長である古川明氏がネーゲル氏に日本招待を持ちかけたことにあります。アシュランド高校はその招待に応えて1988年に初来日し、大阪長居球技場で関西高校選抜チーム(大阪府・兵庫県)と試合を行いました。その2年後の1990年に関西高校選抜チームがアメリカ本土に史上初の遠征を行い、当地の新聞にも大きなニュースとして報道されました。以後およそ2年ごと開催地をアメリカ・日本交互に日米高校生による親善試合と国際交流が開催され、本年度で足かけ29年、15回目の交流、7回目の来日の年となりました。
 2001年からは選抜選手を関西地区全域から募集し、京都・滋賀・広島からの選手も選ばれ試合に参加しています。回を重ねるにつれて、学校関係者のみならず、アシュランドの街じゅうの人たちがより一層熱烈な歓迎をしてくれるように感じています。同様に日本での開催時においても、かつての選抜選手のご家庭も継続してホームステイをしてくれるなど、変わらぬご支援・ご協力をいただいております。アシュランドの生徒諸君は滞在中に、京都での座禅体験や広島の原爆資料館での見学などを通じて積極的に日本文化への理解を深めています。関西選抜チームも同様に本場アメリカでカレッジフットボールの試合を見たり観光や大学キャンパス散策をするなど、アメリカ文化を存分に体験しています。選手相互でアメリカの文化を学び、日本の文化を伝え、ともに友人になることができます。ホームステイの重要性と意義がいかに大きいか、わかってもらえると思います。
 現代は10年ひと昔ならぬ、5年で世の中が変わってしまうような本当に目まぐるしい時代です。そのような時代にあって25年もの長きにわたりこの企画が続き、今後もさらに続いていくのだろうと思うと本当に感動します。その歴史を、今回選ばれた選手諸君がさらに大きく作るのです。『スポーツ交流と文化交流』『国際親善』その二つの大きな狙いを達成するためにも今後ともパシフィック・リム・ボウルへのご理解いただきご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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